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無題

細い路地。
些細な事だった。
特になにも嫌味に特化した言葉も、行動もなかった。
ただ、目の前にあるその顔に自分の作った右手の拳で歪ませてやろうと思った時に
そいつは一メートル位だろうか、吹き飛んでいた。
痛い。
相手の口から出てきたのは苦痛の声だった。
当たり前だ、成人男性が渾身の力を込めて殴ったのだから。
「おい!なんで俺が殴られないといけないんだ!」
理由なんているのか?ただお前のその頬が殴ってくださいと言わんばかりに待ち構えてたからいけない。
右手はジンジンと殴ったという事実を伝えるように痛んだ。
濁点の付くような唸り声が下から聞こえた。
ギラギラとした意識が自分に向けられているのを見て少々興奮したのを感じた。
大通りでは、異様な匂いをまき散らす枯れた草のような髪色をした女が
安っぽい靴の音をさせて歩いている。
街の音を遠くの方で聞いていると、目の前のやつが立ちあがる気配がした。
あぁ、まだ立つのかめんどくさい奴。
でも、もう右手は痛いから右足で。



「君を愛してるから僕の右足受けとってよ。」





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暴力と安物
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居酒屋

酒の勢い。
そう言えば許される、その時はそう思ってポロリと溢した言葉が、言ってしまってから所謂やってしまったと言う状態だった。


目の前で揺れる睫毛の奥の瞳がうろたえた。
自分の口から音のような意味の持たない言葉が宙を舞う。
居酒屋の一角、オレンジ色に落とされた照明が酒の注がれているグラスに反射してキラキラと光っていて、それはここの雰囲気とは一切合わないものだった。

「……忘れてください。」

絞り出した声は余りに小さく聞こえたかどうかなど考えず酒を煽った。
かたん、と言うグラスを置く音だけが響く。相手からの反応はなく不安を増長させた。

異性ではない目の前の相手はどうみても成人した良い歳の男だった。
会社の関係で知り合い、同じ趣味ということで、話に花が咲きよく飲む友達だった。
栗色のショートヘアの前髪から覗く少し歳にしては幼く感じる目は長い睫毛に縁取られている。
綺麗だなと思った時には、知らない感情に肩まで浸かり抜け出せなかった。
伝える気も更々無かったのに。

嫌われた。

スッと前に影が落ちる。殴られるだろうかと思ったがその影は頭に少しの衝撃を与えて離れた。
くしゃくしゃにされた頭を触りながら前をみると、困り顔の彼が笑っていた。



「……気持ち、嬉しいぞ。」




目の前が海に沈んだように滲み、見えなくなった。



(貴方はズルい。抜けられない)

知らない男たちのはなし

雨は嫌いだ。髪の毛が跳ねたり、服が湿気たりするから。
そう呟いた隣の男はさして気にしてなさそうではあったが、少々眉間にシワがよっていた。

しばらく無言で空を眺める。
どんよりとした独特の空気とアスファルトが雨に打たれて、なんとも言えない匂いを発している。
自分も余り雨が好きな方ではない。頭痛や、倦怠感が体を悩ませるからだ。
風流だと言えばそこまでなんだが、個人的意見で言えば晴れが好ましい。

「でも、」

そう口を開いた男は、自分を見つめ

「こうして君に逢えるのなら雨も悪くない」


くしゃりと笑った彼の名を自分は知らない。

寝起きなRの話

掛けてあった布団がなくなり、肌に氷が撫でるような風が当たって目が覚めた。
正確には覚醒させられた、と言うのが良い。

「朝だぞ」

そう聞こえる声は、可愛らしい女の声ではなく成人を越えた男の声だ。

「いや……今日休みだし……」

若干掠れた声で起こした主に抗議すると溜め息が降ってきた。

「朝飯食わないのか?」

台所から甲高い音が聞こえる、今時期ヤカンでお湯を沸かしているのかと少し驚いた。

「コーヒー飲むだろ?早く起きろ、Aはとっくに起きて手伝いを…」

彼の言葉はそこで聞こえなくなった。
自分が唇で塞いだからだ。

「……ご馳走さま、コーヒー待ってるね」

固まった彼を横目に、ベッドを降りてAの待つリビングへ鼻唄を歌いながら向かった。


後ろで大きな音がしたのは聞かなかったことにする。


――――――――――――――


イタズラが楽しい

Kのはなし

仲良くつるむそんな仲だと思っていた。
あいつらの口から、変な言葉が出るまでは。

二人とも少し、天然らしい印象は最初からあったのを否定はしない。
だがこういう趣味とかまでは、分からないわけで

「……」

今日も三人、RとAが我が家でだらだらと過ごしている。
何処にでもあるそんな風景。友人の家でゲームしたり、読書したり。
それとは違う空気が、ここにはあった。

「……お前ら仕事は」

そう口にすると、ばっと二人起き上がって我先にと発言する。

「僕は休み。土日は定休だよ?なに?一緒に居たくなかった?」
「俺は大学単位全部取ってるんで。レポートおわってるし……」

はぁ、とため息一つ。
この年でって言うと自分もそうなるのだが、女の一人もいないのか。
一緒に居たくなかった?ってそういう女に言うべき言葉であって
こんな25にもなるデカイ男に言うセリフではないだろう……。

何考えてんだかこいつら、理解に苦しむ。

「K、今日の晩御飯なに?」
「はぁ?泊る気か……!」

二人がお互いを見て首をかしげながら、いかにも自分たち何かおかしいこと言った?見たいな顔をしている。
いや、構わないけれど
ダメだ、考えてたら頭痛くなってきた。


「お前ら、女の一人いねぇのかよ……」





「「Kがいるよ」」





頭痛がひどくなった気がした。





Kは僕らの女の子。

って書くといかがわしいですね。